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トップランナー・インタビュー第一弾は、イメージフィールド株式会社の岡田拓也さん。欧米式のスタイルを採用した珍しい制作会社のイメージフィールド。その仕組みと強みを中心に、ロケハンの秘訣にまで迫ります!(聞き手/山中純子、青木治夫)

今回が初めてのトップランナー・インタビューということで、ロケ現場の第一線で活躍されている岡田さんにお願いしたいと思います!ではまず、そもそもこの業界に入ったきっかけからお伺いしたいと思います。

もともと映画に興味があって、監督志望だったんですよ。それでアメリカの映画学校に通い、その後ご縁があって日本に帰ってきて制作の仕事を始めました。いつかは監督の仕事に直結する演出部に行きたいと思っていたのですが、ロケハンなど制作部の現場で仕事を重ねていくうちにこの仕事が面白くなってきたんですよ。
ロケハンは監督とイメージを共有することが1番大事なので、監督に近くてやりがいのある仕事だな、と。それでしばらくはフリーでやっていたのですが、ある作品で今の会社の社長と仕事をすることになり、彼が会社を立ち上げる時に入社しました。

それで今はイメージフィールド株式会社のロケーション部にご所属なんですね。

そうなんですよ。「ロケーション部」って、日本だとあまり馴染みがない言葉ですよね。
日本だと、「制作部」がロケハンや車両の手配、宿泊先探しまでトータルで行うのが普通なのですが、弊社では欧米スタイルを取り入れています。欧米スタイルというのは、ロケーション部では“ロケハン”に特化し、チケットの発注業務はプロダクション部、スタッフィングはマネージメント部でやるといった形で分業するということです。
分業体制にすることによって、ロケーション部であればロケハンに注力して柔軟に動けますし、ロケ候補地の情報を相当ストックできるようになるのです。「こういう物件を探している」と頼まれれば、すぐにその情報を提供できます。従来のやり方だと制作部でゼロからロケハンを行い、一定期間拘束することになりその分コストがかかってしまうんですね。に対して、弊社ではロケーション部を使いたいときだけ使えるというスタイルで出来ます。その分人件費の削減が可能なんですよ。
このようなスタイルにしているのは、もともとこの会社が日本だけでなく海外の作品を日本に誘致したり、逆に日本のクルーが海外に行った際にスムーズにロケができるように、という目的で設立したという理由があります。結果として、海外作品を多く受けるようになり、海外ロケに行く作品を率先してやらせていただいてます。

コストが抑えられるのは魅力的ですね。
では最近岡田さんが携わった作品はどんなものがあるのですか?

ちょうど5月1日公開なのですが、ジャッキー・チェン主演の『新宿インシデント』に関わりました。制作部というポジションでの仕事だったのですが、ほとんどロケーションマネージャーとして関わりました。映画のロケ場所は主に東京と神戸だったのですが、私は都内を担当していました。
タイトルにあるように舞台が新宿なのですが、実は決してロケがやりやすい場所ではないんです。そこで、新宿ではない他の場所で、いかにも新宿らしく見えるところを探しました。監督自身は新宿で撮りたがっていたのですが、もともと他のロケ候補地のストックから適した場所を選んで監督にプレゼンし決定したものもありました。もちろん新たにロケハンして撮影が決まった場所もありましたし、これで3ヶ月ぐらいはかかりました。

そういったロケの候補地というのは、普段どのようにして探されているんですか?

もちろんロケなび!はその都度チェックさせてもらっています。毎回、新たな物件が増えていて参考になりますね。
また時間がある時には、作品の依頼に関わらず会社の名刺を持って探しに出かけますね。目ぼしい物件を見つけては、「いつか作品を撮る時に協力していただけませんか?」と話をしに行ったり。
ロケハンの移動中にも、他にも特徴的な物件がないか探しながら動いています。気になる物件があると「今度行ってみよう」と覚えておきます。プライベートの時間でも、町を歩いていてふと周りの建物が気になってしまい、ついつい「ここは使えそうだ」と思ってしまいます。これは一種の職業病でしょうね(笑)。

常にロケ地を追い求めているんですね(笑)。
ロケ場所探しは、イメージ通りの場所が見つからなかったり、場所が見つかっても撮影の許可が下りないこともあってなかなか一筋縄にはいかないと思うのですが、何か工夫をされていることはありますか?

監督のイメージと、私が台本やプロットを見てイメージしたものとが極端に違うと難しいですよね。それから、イメージしたものが実在するものだと良いのですが、それが存在しない場合もありますから、監督と私のイメージと、実際にそういう場所があるのかどうかを照らし合わせていくと大変です(笑)。でもそこが難しいところでもあり、やりがいを感じるところでもあります。
それから、海外クルーの場合ほとんどが、日本が撮影しにくい環境だと知らない場合が多いので苦労します。普通に、「この道路を封鎖したい」「ビルを買収して占有したい」と言ってくることも多いので、それを説得するのは大変ですね。

ロケが行われたことのない場所だと、クレームなどトラブルに発展する心配もあると思うのですが、何か対策をされていますか?

ロケの前には必ず挨拶周りをしますね。ロケで使う範囲の住民の方に挨拶したり、あと、どこまで挨拶して良いか分からないような時には、先にその町の町会長さんに挨拶に行くんですよ。それで「どの辺りまで挨拶した方が良いでしょうか?」と訊くこともあります。 ただそれでも、道路で撮影するときに通行止めにしていて、たまたま通りかかった方から警察に通報されてしまったりとトラブルが起こってしまうケースもあります。
そのようなことが起こってしまった際には、その後も改めてご迷惑をおかけしてしまった方への謝罪に必ず出向きます。
ロケ隊って一般の方からすると全部同じに見えるじゃないですか。一つマナーの悪いロケ隊がいると、それだけでロケ隊が全部悪いイメージになってしまう。
だから少なくとも、自分たちがロケをするときにはちゃんとルールに則ってやっています。業界全体がそういうふうに見られるのは嫌なので、まず自分たちがしっかりやろうと。

挨拶周りをはじめとして、ロケ受入側との関係作りをしっかりされているんですね。

そうですね。ロケ現場では予期しないことがよく起こるので、いかにそこで対応できるかということと、いかにリカバーできるかというのが重要だと思います。撮影が終わったあとに、「あの人たちはしっかりしてたな」と言われたら、お互いに気持ち良いですよね。
例えばロケ地として使わせていただいた施設の方には、映画だったら公開日、テレビだったら放映日はしっかりお伝えします。特にお世話になった方の場合には、試写のチケットをお渡しすることもありますね。
『新宿インシデント』も、上野のアメ横全体を使って撮影して、街全体にご協力いただいたんですよ。試写会にもご招待しました(笑) たくさんご協力をいただいた場合、こちらの感謝の気持ちを誠心誠意伝えるようにしています。

街全体のロケ地交渉だとかはかなり大変なんじゃないですか?

正直大変なことも多いですね。映画『バベル』の時には、渋谷のある場所で撮影を行うことになったんですよ。そこは基本的に撮影の許可が下りない場所だったので、他で撮影しようと監督に代案をプレゼンしたんです。でもなかなか監督が首を縦にふらなくて。そこで、町会長さんのところに足しげく通って、どうにか撮影させてくださいと口説き落として、結果的に撮影できるようになりました。

どれだけ事前の確認・交渉や関係作りが大切かということですね。
では、岡田さんがロケ地探しで心がけていることはどんなことでしょう?

念頭に置いているのは、監督のイメージ通りのロケ場所を見つけ、そこでいかに円滑に撮影を進められるか、良い作品ができるかどうかということです。そのためには、事前の交渉と確認をどれだけ出来ているかがポイントですよね。
よくいらっしゃるのが、実際ロケ隊が来てみたらあまりに大掛かりで驚いたという方。そのようなことにならないよう、いかに事前にギャップを穴埋めしておけるか。「車も10台くるし、スタッフも60人くらい来て、朝から晩までわいわいがやがや撮影が行われて大掛かりなことなんですよ」、ということをどれだけ周知できるかですね。
画的にいい場所を見つけることだけではなく、現実的にそこで撮影をするということに対して、いかに話を詰めていくかというのが私たちの仕事なんです。

岡田さんがやりがいを感じる瞬間とは?

自分たちが苦労して成立させた現場が映像となって、劇場で観る時ですね。
あとは、自分でロケハンした場所を監督に見せたとき、監督から「ぴったりのロケーションだ」と言われた時も感じますね。ま、頻繁にあるわけじゃないですが…というのも監督によって感情を表に出すタイプとそうでないタイプといらっしゃるので実際は分からないことも多いんです(笑)。

では最後に、岡田さんの今後の野望を教えてください。

自分たちがやろうとしている欧米式のシステムがもっと浸透していくことが野望ですね。
この何十年間、従来の「制作部」がまかなうシステムで来ているので、いきなりその土壌をひっくり返すというのは難しいとは思いますが、新しい考え方を持ったプロデューサーがでてきて、徐々に浸透していけばいいなと思っています。
根本的に、欧米と日本とでは制作のバックグラウンドが違うので、そのまま取り入れようとするのは無理だと思います。でも、そこをいかに日本のスタイルに融合させていくかというのが課題です。

顔写真

イメージフィールド株式会社 / 岡田拓也さんプロフィール

1976年生まれ。アメリカの映画学校を卒業後、日本へ帰国。フリーの制作を経て、現在イメージフィールド株式会社ロケーション部に所属。欧米スタイルである分業型の制作スタイル(ロケーションに特化)を特徴とした制作協力を行う。手がけた主な作品に映画『バベル』・『デトロイト・メタル・シティ』・『新宿インシデント』など。
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2009年5月 1日

編集・写真/青木治夫

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