制作者インタビュータイトル
トップランナー・インタビュー第二弾は、共同テレビジョンの鹿浜勉さん。様々なドラマの現場を知り尽くしている制作担当の鹿浜さんに、ロケの現状についてお伺いします!(聞き手/山中純子)

そもそもこの業界に入られたきっかけというのは何ですか?

始めはこういう業界に入りたいとは全然考えていなかったんです。実はテレビを作っている人達がいることすら知らなかったくらいですから(笑)。 学生の時のアルバイトが、たまたま撮影現場に届けることの多いお弁当屋だったんですよ。そこで業界に興味を持ち始めて、知人のつながりでドラマの現場を見学させていただく機会があったんです。 その現場がものすごい活気があって!びっくりしたんですよ。中高時代とかに文化祭ってあるじゃないですか。出し物にクラス一丸となって夜遅くまで残って、目標に向かってみんなが一生懸命作っているっていう。こういう世界ってすごいなぁと思って、「ドラマの現場で働きたい!」と強く思うようになって、現在に至るわけです。

この業界に入って、15年近くになるとお聞きしましたが、制作担当になられたのはいつ頃のことですか?

5、6年前ですかね。制作担当になる前は助監督をやっていました。 助監督の時は演出のことしか考えていませんし、現場の中での作業が多く、当時は制作担当が実際にどんなことをしているのかよくわかりませんでした。そのうち撮影の時に「なぜこの場所なのだろう」と思うことがあり、ロケ場所について突き詰めて考えるのは全く違う角度の見方ができ、面白そうだと思いました。それで異動のお願いをしたんです。

現在はどんな作品に関わられていますか?また具体的にどんなことをされているのか教えてください。

『アタシんちの男子』という今まさにO.A.中のドラマに携わっています。 できあがってきた台本にある様々な設定に関して、監督・演出家からそのイメージを聞きながら、「ここはこういう場所がいいのではないか」と具体的な場所の提案をしています。僕は制作担当なので統括している立場ですが、連続ドラマの場合探す場所が多く一人でまわりきれないので、基本的には制作部は4人体制で動きます。 日々相談しながら方向性を決めて、実際にロケ場所探しに動き出す感じですかね。台本ができあがるペースによっては、タイトなスケジュールになり大変なこともあります。演出家や全てのパートの理想通りになるよう物事を進めるのが僕らの仕事です。

普段のロケ場所の情報収集はどんな風にされていらっしゃるのですか?

例えば運転していて面白く目に映ったものは、写真に撮っておきます。いつでも出せるようにUSBに保存して、学校なら学校の写真がダーっとみられるようにしてありますね。自分のストックと、新たにいろんな方法で探してみて、最終手段としては制作担当同士、主任同士で情報共有したり、誰かしらの知り合いに連絡を取り情報を聞いたりします。色々なところにつながっているのでネットワークを使ってよく情報交換をしますね。 毎年お正月にやらせていただいている“金田一耕助シリーズ”だと地方ロケが多いんですよね。最近はフィルムコミッションがしっかりしているので、非常に助かります。今回の『アタシんちの男子』でも日野の映像支援隊の方にすごくお世話になっています。ほんとフィルムコミッションの皆さんには感謝ですね。

実際に『アタシんちの男子』での探すのに苦労されたロケ場所についてや、メイン舞台には某場所で撮影されていますが、決められた経緯など教えていただけますか?

台本に書かれてある感じで、監督も僕も第一印象がそこ(メイン舞台)でした。 本当はちょっと距離が離れているところで何パターンか他の候補も見せたのですが…妥協するより、監督のイメージにぴったりの所がいいだろうと思いました。 苦労したところはやはり、“ミラクル”(おもちゃ会社)です。会社っていうと僕たちもいわゆる普通のオフィスビルをイメージしていたのですが、監督が「そういうのは当たり前すぎる。違った視点でいきたい」と言われて。 なかなか良い案が出てこなかったのですが、ふと歴史的建造物はどうかと思って、昔の県庁とかを見てみたんですよね。某建造物の外観だけを交渉したら、中での撮影もOKということになり、「それはすごい!」と。設定もおもちゃの会社なので雰囲気も合うんじゃないかと思いました。

そんな風に苦労されてロケ場所が決まったことを考えると、ドラマを観る視点も変わりますね。今回、ドラマでは初の飛行船を使った撮影を行ったそうですね!

現場のみんなは飛行船に乗って「良かったよー!!」と言ってるんですけど、まだ僕は乗ってないんですよね(笑)。 今度是非乗ってみたいです。

ドラマ撮影の際に、ロケ場所との交渉で、鹿浜さんが心がけていらっしゃることってありますか?

正直に言う事を心がけています。経営している人間が悪人という設定で某養護施設が登場する時がありました。養護施設は独特の雰囲気があるので実際の施設をお借りしたい。その時は始めから正直に、「経営者が悪人なんですけど…」と伝えてお願いしました。その上で快く貸してくださるところを使わせていただきました。 あとは借りている身分なのでご迷惑はかけたくないと思います。 ロケ先の方々の要望はマネージャーさんや事務所側に伝えて、サインなども役者さんが可能な限り対応しています。貸してくれた方々が、最終的に気持ち良く終わってほしいという気持ちがあります。

ところで鹿浜さんは年間でだいたい何本の作品に関わられているのですか?

基本的に連続ドラマが3本、そこに2時間ドラマや映画などが間に入ってきますね。あとは毎年お正月に“金田一耕助シリーズ”をやらせていただいてます。

年間でここまで作品に関わられているとは!休む期間もなく大変ですね。今までに正直、「辞めたい…」と思われたことってないのですか?

そうですね。あまり辞めたいと思ったことってないですね。同じような一日がなくて日々違う展開なので面白いです(笑)。辛さの中にも面白さがあれば、辛い気持ちもなくなっちゃいますからね。「もう少し自分の時間が欲しいなぁ」と思う時があるくらいです。 上の立場にいくほど時間がない中で進めなきゃいけないプレッシャーも強くなるんですけど、制作部内で協力しながら楽しくやっています。「どれだけ自分が頑張ったか」というのも、クランクアップの瞬間に分かるんですね。思い入れが強い作品は涙が出てしまったり、「あ~良かったなぁ」とやりがいを感じる瞬間です。

最後に鹿浜さんのこれからの夢や野望をお聞かせください。

演出家になりたいですね。夢ではないですがいつかは自分で撮ってみたいです。 「こういう景色があったな」とかイメージしながら自分で本を書いたら、みんな楽じゃないですか(笑)。人生の目標としてドラマでも映画でもいいので一本撮りたいです。 色々な監督に就いて考え方を吸収して…全く見方が異なる方達ばかりなので、とても勉強になります。今回の(『アタシんちの男子』の)松田秀知監督からもほんと刺激を受けます。



【インタビューを終えて…】
連続ドラマの合間の忙しいスケジュールの中で取材に応えてくださった鹿浜さん。この日も『アタシんちの男子』のセットがあるスタジオ内でお話をお聞きしました。(スタジオには、家族みんなが集まるあの大広間、峯田千里の部屋、サウナもありました!)とにかく楽しそうに話をされる鹿浜さん。お話をお聞きしていて、今の仕事が本当に天職なのだなーと思いました。

顔写真

株式会社共同テレビジョン / 鹿浜勉さんプロフィール

1971年生まれ。大東文化大学卒業後、株式会社イン・ナップ 制作部に所属。現在は制作担当として数々の連続ドラマに携わっている。 携わった主な作品は、『白線流し』・『白い巨塔』・『パズル』・『悪魔の手毬唄~金田一耕助シリーズ第5弾』・『DOOR TO DOOR~僕は脳性まひのトップセールスマン』など。
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ただ今絶賛O.A.中『アタシんちの男子』(公式HPリンク) 千里は母親役をまっとうし、1億円を返せるのか!?


2009年6月 1日

聞き手/山中純子

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