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トップランナー・インタビュー第四弾は、共同テレビジョンの作品に数多く携わる制作部の関尚人さん。映画『ぼくとママの黄色い自転車』(8月22日公開)での地方ロケ話を中心に、どのように絶景のロケーションを探されているのかお聞きしました。(聞き手/斎藤奨、山中純子、安黒道晃)

まず、関さんの代表作とこれまでの経歴について教えていただけますか?

それはもう最新作『ぼくとママの黄色い自転車』です(笑)。今まで数えきれないくらい担当しましたし、全部思い入れが深い作品ばかりなので、どれっていうのは難しいですね。 実は、もともと劇用車の会社をやっていまして、いつも呼んでいただいている共同テレビジョンの制作担当の方にお願いして、興味のあった制作の仕事を個人でもお手伝いをしてきました。そういう流れで、ドラマ『ウォーターボーイズ』の 1、2、スペシャルにずっと参加させていただきました。


とても珍しい経歴ですよね。共同テレビジョンの作品に本格的に携わるようになったのはいつごろからですか?

車輌部としてずっとお手伝いしてきましたが、現場を仕切るという仕事の方が、自分の性格に向いていると思ったことや、もう若いスタッフもいるのでそろそろ自分でもやってもいいかなぁと思ったのがきっかけです。あとは最近の予算削減で、劇用車の依頼が少なくなってきたということもありますね。そういった理由で、去年から正式に制作部として共同テレビジョンの作品に携わっています。


『ぼくとママの黄色い自転車』では具体的にどのような担当をされていたのですか?

主人公である小学校3年生の男の子が横浜から小豆島まで旅をするという作品なのですが、小豆島は別に担当がいたので、小豆島に向かうまでのシーンのロケ地探しを担当していました。 台本と監督のイメージをもとに、予算や時間を考慮して東京から東名高速で行ける浜松ぐらいまでの範囲をほぼすべて自分の足で探していました。


空や海が綺麗で、夏に行きたくなるような場所が多かったですね!
また、地方ロケでは現地の方の協力も必要になってくると思うのですが、その辺りはいかがでしたか?

本当に綺麗な仕上がりになって良かったです。あと主人公が小豆島へ向かう途中、岡山の家でお世話になるシーンは、実はすべて山梨で撮っています。山梨に仲の良いフィルムコミッション(以下FC)の方がいるので、一緒に探してもらったりもしましたね。 そういった現地を知り尽くしている人との繋がりは大切ですよね。自分の体はひとつしかないわけですし、時間と予算が限られている中で撮影をやるとしたら、すべて現地で探すことができないので、お願いすることがあります。慣れている方だとイメージを伝えるだけでいろいろな場所を探してきてくださるのでありがたいです。


昔と比べてFCの対応の変化を感じることはありますか?

以前は観光協会やFCへ電話をかけて担当者に代わっていただいてという手順をふんでいましたが、最近は携帯ですぐにお願いできるようになりました。 電話やメールのやり取りですぐ写真を送ってくれたりと、よりスムーズになったので、時間が合わなくてなかなか担当の方とお話しできないという状況にもならなくなりましたね。


一両編成の電車が走る風景をバックに、主人公が自転車をこぐシーンが印象的でしたが、あの場所も山梨ですか?

あれは、『ウォーターボーイズ2』の時に見つけた天竜浜名湖鉄道と言って静岡ですね。掛川からず〜っと浜松まで山を通っていく単線で、イメージ的にピッタリだと思って提案しました。あの1、2カットのためだけに行きましたからね。規模にもよりますが、通常ドラマでは2週間ほどで準備をして撮るところを映画だと1か月半くらいかけられるので、より監督の希望を実現できるようになりますね。


今回ロケ地探しで一番苦労された点は?

大変だったのは、ほぼゼロの状態からロケ地を探しまわったことですね。山梨や静岡のように場所が定まっていれば、FCの方にご協力いただいたりできるのですが、高速を走っているトラックを外から、しかも海ぬけだったり富士山を真正面にぬけるというロケーションの場合は、ほかにはお願いできないですしね。今までの情報のストックから候補を出すこともできますが、できるだけ新しい場所を探しに行くよう心がけているので、あえてゼロからスタートしました。監督のイメージに少しでも近づけるため一生懸命1か月かけて、東名高速を何十回も行ったり来たりしました。出来上がりは短いシーンだったりもしますが、ワンシーンにも徹底してこだわるという小さな積み重ねが良い作品に繋がると思います。


映画では、たった1シーンの景色が印象的だったり感動したりしますよね! 撮影中にも苦労された点などはありましたか?

特に大変だったのは、“暑さ”と“雨降らし”ですね。7月10日過ぎにクランクインしたのですが、例年通りだとまだ梅雨のはずがちょうど明けてしまってしかも連日の気温が35℃オーバー。主人公・沖田大志役の武井証くんは、スタッフの前では弱気な姿を一度も見せずに頑張っていたので感心しましたが、相当辛かったのではないかと思います。新岡山港の台風シーンは晴れの中、一日ずっと雨降らしで大変でした。


地方と都内、どちらでのロケが大変ですか?
また、都内でロケのできる施設を探すときはどうしていますか?

都内の方は少しずつロケのできる場所が減ってきているので大変ですね。車も人通りも多いですから、撮影のために人通りを止めるのも苦労しますしね。その点地方では、協力してくれるところが多いように感じます。 都内ロケでは、自分のこれまでの情報のストックから選ぶことが一番多いですが、ロケなび!を見たり、知り合いの制作部に聞いたりします。 前回担当しました映画『僕らのワンダフルデイズ』(今秋公開予定)では、ロケなび!に載っていた西新井のマンションギャラリー「レコシティTOKYO」(現在掲載終了)をお借りしました。撮影料金についてもだいぶ相談させていただきましたね。


地方ロケでの楽しみや過ごし方について教えてください。

時間があればという話ですが、いつも同じスタッフと動くわけではないので、初めて会う人や久々に再会した人と一緒に語り合いながら食事をできることが楽しみです。今回のハードな撮影中でも夜中に飲みに行ったりして、体重が増えましたからね(笑)。今は戻しましたけど。 過ごし方といえば、地方ロケで重要なのが“宿さがし”ですね。ロケ中はヘトヘトになるほど動くので、疲れを癒すために限られた予算の中でより快適に過ごせるような旅館やホテルを探します。基本は人数と費用を伝えて、あとは朝食を付けてほしいなどの要望を少しずつ交渉していきます。全員が宿に入りきらない時は、分宿をするなど臨機応変な対応も必要です。撮影時に泊まる所がなかった、なんていうのは冗談にならないですからね(笑)


では最後に、地方ロケをスムーズに行うために、必要なことはなんでしょうか?

作品をより良くするために台本と監督のイメージをズレなく現地のFCの方と共有し、情報を伝え合うことですね。今は、「こんな場所ありますよ!」、「こっちはどうですか?」と積極的な方が多いですし、自分も同時に動いているので、単純に2倍の動きになります。撮影中は自然と個人的にも仲良くなっていくので、仕事をするたびにいろんな地域の担当の方々と繋がりができて、どんどん全国にネットワークが広がっていく感じですね。



【インタビューを終えて…】
このインタビューの翌日から次のロケが始まるという忙しいスケジュールの中、本当に楽しそうに現場でのエピソードを語っていただきました。現在の制作費カットの厳しい事情と同じくらい予算も時間もない現場を多く体験したことがあるという関さん。「昔はそういう状況で(仕事を)やらされてる感もありました」と言いながらも、そこから得たことも大きかったそうです。 最新作『ぼくとママと黄色い自転車』の河野圭太監督から、「やりやすいようにやってくれたらいい」と、任せてもらえたことに、全力で応えている関さんの姿に、強いプロ意識を感じました。



【僕とママの黄色い自転車】
~あらすじ~
小学3年生の大志は、父・一志と二人暮らし。母・琴美はデザインの勉強でパリに留学中。そんな大志の一番の楽しみは週に一度届く母からの手紙だった。しかし、ふとしたことから母がパリではなく実は瀬戸内海の小豆島にいることを知る。どうしてパパとママは嘘をついているんだろう? どうしても母に会いたいと思った大志は父に内緒で横浜から遥か500kmも先の小豆島を目指す決心をする。
監督:河野圭太
出演:武井証、阿部サダヲ、鈴木京香、西田尚美ほか
2009年8月22日(土)より新宿バルト9ほか全国ロードショー
公式HPはこちら

顔写真

株式会社共同テレビジョン / 関尚人さんプロフィール

1971年生まれ。株式会社レベルワンに所属。現在は制作主任として共同テレビジョンの映画に数多く携わっている。携わった主な作品は『守護天使』、『ぼくとママの黄色い自転車』(09年8月22日公開)、『僕らのワンダフルデイズ』(今秋公開)など。 株式会社共同テレビジョンの情報はこちら
家族の絆と深い愛情を描いた感動作『ぼくとママの黄色い自転車』、ぜひ劇場にてご堪能ください。


2009年8月 1日

聞き手/斎藤奨、山中純子、安黒道晃

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